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No.79イギリス東禅寺(高輪)

英国人が東禅寺に移ってきた日を、寺の日記は書き留めていた

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INTRODUCTION ・ はじめのひとこと

安政六年(1859年)六月七日、イギリスの人たち三十人余りが、この東禅寺に移ってきました。

この寺の日記『天寿室日記てんじゅしつにっき』が、その前後の日々を書き留めています。

On the seventh day of the sixth month of the sixth year of Ansei (1859), some thirty British people moved into this temple, Tozenji.

The temple's own diary, the Tenjushitsu Nikki, recorded the days around their arrival.

日記を紹介した高橋正彦の論文によれば、日記はこう書いています。

四日。イギリスの人を泊めるため、寺の檀家だんかが警固けいごに当たり、仙台と備前の家から詰めの侍が寺に来ました。

五日。松平伊豆守まつだいらいずのかみから、寺に知らせが届きます。イギリスの使節が、あす六日にこの寺へ移ると外国奉行が言っているので、心得ておくように、と。

六日。大風で、陸へ上がるのが難しく、イギリスの人たちは移ってきませんでした。

七日。「英人三十人余リ移来」。

日記は、泊まったイギリスの人たちの名と年も書き留めていて、ミニストル(公使)のエールコックを「六十才」と書いています。

のちに、イギリスのミニストルの書院から、火が出たことがあります。

日記によれば、火は天井に移って少し焼け、寺の小遣いの者が「火事々々」と呼んで、寺は鐘を撞き鳴らしました。

周りの寺からは見舞いの僧が来て、隣の寺々も、こちらの鐘を合図に鐘を撞いた、と日記は書いています。

オールコックの本にも、火事の話があります。

十一月もだいぶ過ぎたころ、夕食の少し前に、召使いが食堂のストーブに大きな火を焚き、垂木に火が移った、と。

寺の大鐘の最初の一打ちで、地区の長も助けに来て、近くの大きな池の水と、小さな消火ポンプ二台で、火は消し止められました。

損なわれたのは瓦と屋根と天井だけだった、とオールコックは書いています。

RECORDS ・ 記録の言葉

この話のもとになった記録の言葉です。ページは、その本に刷られたものです。

The Capital of the Tycoon, Vol. II(New York: Harper, 1863)一次史料

  • We were already far into the next month of November/A few minutes before the dinner-hour/had lit a monstrous fire in the dining-room stove/The rafters had caught fire
    p.20
  • The mayor of the district also came to our rescue at the first clang of the great Temple bell calling for the fire brigades/Fortunately, a large pond was close at hand, well filled with water, and by aid of a couple of little native engines the fire was at last finally declared to be extinct, with only a sad destruction of tiles, roof, and ceilings
    p.20

高橋正彦「東禅寺所蔵「天寿室日記」について」『史学』第43巻第1・2号(三田史学会、1970年)319-330頁

  • 安政六年六月/四日晴(前略) 仙台詰士…備前家詰士徒弐人 足軽四人」右の本文のほかに四日の頭注として「英人宿ニ付檀家警固」と記載されている
    p.324
  • 安政六年六月/五日晴(前略) △松平伊豆守殿 御差紙 英国使節明六日其寺江引移候旨外国奉行申聞候間可被得其意候
    p.324
  • 安政六年六月/六日風陰(前略) △英人不引移大風ニ而上陸六ケ敷
    p.324
  • 安政六年六月/七日雨(前略) △英人三十人余リ移来
    p.324
  • 宿英人名 ミニストルノ名 エールコック 六十才
    p.324
  • △英国ミニストル書院失火、煙ニ而薪火煙リ出シ而火天井ニ移リ少し焼□候、小遣之者火事々々ト呼候間、天寿茶ノ間出揮指撞鐘鳴し
    p.326
  • 寿昌寺使僧恩沢寺使僧東光寺使僧瑞松寺使僧其外隣寺此方鐘相図之撞之由人々使僧見舞之処
    p.326
FOR GUIDES ・ ガイドのかたへ

PDF の後半 2 ページはガイド用です。読み上げる台本、語り方のコツ、事柄ごとに「どこまで言い切ってよいか」、記録の言葉と原本の切り出しが載っています。お客様用の面の裏に来ないよう、両面印刷で組んであります。

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