ガイドネタ帳 › 首都圏 › 増上寺 › No.58 外国人共通
No.58外国人共通増上寺上野公園浅草寺富岡八幡宮・深川飛鳥山(王子)

park の訳語がまだ「獣を放ち畜やしなふ所」だったころ、この場所が公園と定められた

PDF は準備中です
最終確認前この話は、印刷用の PDF を準備しています。文はこのページで読めます。
INTRODUCTION ・ はじめのひとこと

いま立っているこの場所は、日本に「公園」という制度ができたとき、名を挙げられた場所のひとつです。

始まりは、明治六年一月十五日の布達ふたつ、政府のお達しでした。

その四年前、英和辞書は park をこう訳していました ――「獸けものヲ放はなチ畜やしなフ所ところ」。

The place you are standing in was named when Japan made the public park a matter of law.

It began with an order dated the fifteenth day of the first month of the sixth year of Meiji.

Four years earlier, an English-Japanese dictionary had rendered "park" as: a place where beasts are let loose and kept.

明治二年の奥付のある『英和対訳袖珍辞書えいわたいやくしゅうちんじしょ』。

park の訳語は「獸ヲ放チ畜フ所」、そして「園囿えんゆう」。

「公園」の語は当てていません。

その四年後、太政官だじょうかんが正院達せいいんたつ第十六号を出します。

これまで人が群れ集まって遊び観てきた場所を、

「永ク萬人偕樂かいらくノ地」として公園と定めよ、という布達です。

その例が、割注わりちゅうに小さな字で書き添えてあります。

東京では、金龍山きんりゅうざん浅草寺と東叡山とうえいざん寛永寺の境内。

京都では、八坂社、清水の境内、嵐山。

東京府はこれを受けて、五ヶ所を公園と定める町触まちぶれ、町へのお達しの案を作りました。

浅草寺、増上寺、寛永寺、富岡八幡社地、飛鳥山あすかやま。

府県は土地を選び、景況けいきょう、ありさまを詳しく取り調べ、図面を添えて大蔵省へ伺い出よ、と命じられています。

ただ、辞書のほうは変わりませんでした。

布達と同じ明治六年に出た『附音挿図英和字彙ふおんそうずえいわじい』も、park は「囿その」「遊園」「遊獵場ゆうりょうじょう」。

その九年後の版も、同じままです。

いっぽうで「公園」という語そのものは、もっと前から公文書にあります。

明治四年、横浜山手の土地を各国領事に貸し渡した地券ちけん、土地の証書が、その地を「居留の外国人用の公園」と書いています。

park の訳語が辞書で変わらないうちに、この場所の名は書き留められていました。

RECORDS ・ 記録の言葉

この話のもとになった記録の言葉です。ページは、その本に刷られたものです。

『改正増補 英和対訳袖珍辞書』(扉は慶應三年江戸再版、奥付は明治二年官許・蔵田屋清右衛門)一次史料

附音挿図英和字彙(明治六年・日就社)一次史料

英和字彙(明治十五年・日就社)一次史料

東京市編『東京市史稿 遊園篇第四』(東京市、昭和7年)

内閣官報局『法令全書』明治四年(内閣官報局、明治20〜45年刊行の版)

内閣官報局『法令全書』明治六年(内閣官報局、明治20〜45年刊行の版)

FOR GUIDES ・ ガイドのかたへ

PDF の後半 2 ページはガイド用です。読み上げる台本、語り方のコツ、事柄ごとに「どこまで言い切ってよいか」、記録の言葉と原本の切り出しが載っています。お客様用の面の裏に来ないよう、両面印刷で組んであります。

リストに保存